2040年の17歳・鷲尾野ゆずりはの1日を考える(5)ゆずりはのキャラ設定と適職診断やってみた

いなたくんへ

未来予測のアプローチの1つとして、ある年代の具体的なペルソナを設定し、その生活レベルで考えてみる。というコンセプトでスタートした「ゆずりはPj」。2040年の高校2年生・鷲尾野ゆずりは(17)の目線で、その日常を考えていく。

第一回と前回記事はこちらから。

さて今回なんだけど、最近私の中で大流行のパーソナリティ理論に基づき、ゆずりはのペルソナ設定をさらに深めてみたいと思う。パーソナリティ理論とは、人のパーソナリティをいくつかの評価軸に写像し、特性や類型を定義したもの。統計的有意性が学術的に担保された性格診断、と言えばわかりやすいか。

関連記事はこちら。

また、パーソナリティ特性に基づき各性格の適職を整理した『あなたの天職がわかる16の性格』(2016)がよくできていたので、こちらを参考に2040年の職業観と、そのゆずりはへの影響も考えてみる。

Summary Note

ゆずりはのパーソナリティは「主人公」型(ENFJ型)

ゆずりはは自分のパーソナリティにどう向き合うのか

ゆずりはの適職はAIに代替されるか


ゆずりはのパーソナリティは「主人公」型(ENFJ型)

さてパーソナリティ理論。ビッグファイブやMBTI法が有名だが、今回は分類論を使いたいのでMBTI法を採用した。

MBTI(Mayers-Briggs Type Indicator)はユングのタイプ論をもとにした国際規格に基づく性格検査手法である。次の4つの評価軸に基づき、人を16種類に分類する。

  • 外向(E)/内向(I):他人といるか独りでいるか、どちらが元気が出るか
  • 五感(S)/直観(N):五感(現在)と第六感(将来)のどちらに注意を払うか
  • 思考(T)/情緒(F):決断にあたり感情を優先するか否か
  • 決断(J)/柔軟(P):早めに決断するか、情報を取り入れてから決断するか

次のサイトではWeb上で簡単に自分の16分類を知ることができるのでおススメ。

性格因子を決める

ではさっそくゆずりはの性格を決めていこう。決め方は「私の好み」である。

まず「外向」か「内向」か。私自身は内向型だけど、なんか外向型のが楽しそうだし「外向」とする。
次に「五感」か「直観」か。現実は直視しないというか現実にこだわりすぎない方が好みなので「直観」で。
「思考」か「情緒」かでは、理屈っぽいのは嫌なので「情緒」。
「決断」か「柔軟」も、優柔不断は面倒くさいので「決断」とする。

ということで鷲尾野ゆずりは(17)の性格因子は次のように決めた。ENFJ型である。

  • 外向(E)…他人といると元気が出る
  • 直観(N)…第六感や将来のことに注意を払う
  • 情緒(F)…論理よりも感情を優先して判断する
  • 決断(J)…すぐに判断を行う

ENFJ型は『16 Personalities』によれば「主人公」型に分類される。


『16 Personalities』より

またMBTI法に基づき16分類ごとの適職を整理した『あなたの天職がわかる16の性格』(2016)では「チームプレイヤー」という名称がつけられている。『あなたの天職がわかる~』ではENFJ型の性格が詳細に記されていたため、ここでは『あなたの天職がわかる~』から、鷲尾野ゆずりは(17)の性格を記述したい。

ENFJ型の特徴

『あなたの~』によれば、ENFJ型は端的には「人の幸福を願う人」「PRが得意な社交家」と表現される。キーワードは「人助け」「誠実」「協調性」「社交上手」。

おお、なんかものすごくイイ人そう。いいじゃんいいじゃん。
というか私とはかけ離れた性格でむしろ眩しい。

ENFJ型は例えば次のような特徴を持つ:

  • 人間が大好きで、人への思いやりが深く、人との付き合いを大切にし、いつも人のことを気遣っている
  • 穏やかで寛容で、周囲の人と協調して円滑な人間関係を築くことができる
  • その場にふさわしい行動を心得ており、礼儀正しく、社交上手で、人から好感を持たれる
  • リーダーの資質を備えており、人気者で、時にカリスマ的資質を備える
  • コミュニケーションをはかるのが得意で、たいてい話し上手で、感情を表現豊かに伝えることができる
  • 人に共感をあらわにし、相手を理解していることを示す
  • 人の気持ちがよくわかり、責任をもって相手の世話をしようとする
  • 部下や生徒の才能を伸ばすのが上手い
  • 自分には厳しく、自分のことをつい批判しがちだが、他人には寛容で、人前で誰かを批判することは滅多にない
  • 自分の理想や価値観を大切にする
  • 尊敬する人には誠実を尽くす
  • 大義名分に忠実で、組織の一員としてまじめに働く
  • 規律を守って暮らすのを好むため、組織の一員でいると居心地が良い
  • 実際の状況を考慮するよりは、自分がどう感じているかを基盤に判断を下す

ENFJ型の短所

一方、例えば次のような短所も併せ持っている:

  • 人に同情しすぎたり、感情移入しすぎる傾向にあるため、つい人が抱えている問題に深入りし、干渉しすぎる
  • 人に期待しすぎて幻滅することもある
  • 失意が重なると、自分は感謝されていない、評価されていないと感じ、引きこもってしまう
  • 周囲と協調して暮らしていきたい願望が強すぎるため、自分の欲求を見過ごしたり、現実の問題を無視したりしがち
  • 同情心が強すぎて相手を批判できないこともあるし、相手の感情を傷つけまいとするあまり、重要な事実が眼に入らない場合もある
  • 対立や逃走を避けようとするため、平等で気持ちのいい無理のない人間関係を維持できないことがある
  • 自分が信じている者にマイナスとなる情報があっても、それを見ないようにしたり、無視したりしがち
  • 褒められれば素直にうれしいが、ちょっとした批判にも傷つくため、「怒りっぽい人間」「扱いにくい人間」とみられることもある
  • せっかちなところがあり、必要な情報をすべて集めないうちに慌てて決断することもある


ゆずりはは自分のパーソナリティにどう向き合うのか

すでに挙げた通り、2040年においては教育のあり方が今よりも変わっている可能性が高い。具体的には、データドリブンの適応学習や、アクティブラーニングが普及している。こうした個人化された学習は、対象者の個性を特定することが前提となる。

すでに高校生になったゆずりは自身も様々な場面で、自信のパーソナリティの特徴を知らされているだろう。それは必ずしもMBTI法によるものではないだろうが、ゆずりはは自身の長所と短所、特性をきちんと自覚したうえで、他人との関りや、将来のことを考えている。

また、教育システムや、あるいはゆずりはに対して種々の推薦・助言を行うAIエージェントのようなサービスも、ゆずりはのパーソナリティ特性を踏まえたパーソナライズがされている。

強みを伸ばし、弱みを減らす

AIエージェントによる推薦は、商品推薦だけでなく、日々の行動にも及ぶかもしれない。基本的にはゆずりはの強みを伸ばし、弱みを減らす助言を行う。

例えば学習。2040年の進研ゼミは、ユーザのパーソナリティに応じて個別化した支援を行う。コミュニケーションを好むゆずりはの場合、他者と協調しての学習や、ゆずりはが他のユーザに教えることを通して学ぶ、といったアプローチが良いかもしれない。

あるいはストレス。ゆずりはの場合、「きちんと人に感謝してもらえないこと」「対立が起こること」がストレス要因。そして実際にゆずりはがストレス状態にあるとき、AIエージェントはこれら観点で原因を伝え、適切なリカバリ方法を示すだろう。

スクリーンの景色が変わる

ターゲティング広告も、パーソナリティ特性に応じてパーソナライズされる。

ゆずりはの場合、人付き合いやコミュニケーション、あるいは自分の理想や価値観を重視するので、これに刺さるプロモーションが打たれる。

この時代においては、同じ商品の宣伝でも、友達同士で違うものが配信される。さらに言えば、スクリーンを通して覗く仮想世界は人それぞれに違った景色になる。

気になる男子の攻略法も

ゆずりはに気になる男子ができたとき、同アプローチすればよいだろう。相手のパーソナリティがわかれば、その攻略法も見えてくる。

簡単なところでは、例えば相手が「思考」型因子をもつなら論理的に、「情緒」型紳士を持つなら感情的に反応すると、話が合いやすくなる。このように相手の性格を知ることで、相手をハックすることができる。

こう考えると、パーソナリティ特性は重要なプライバシーになるかもしれない。

しかし異論も

色々便利そうなパーソナリティ特性。しかし、それがどこまで活用されるかには疑義がある。

ひとつは、こうしたフィードバックがゆずりはの人格にもたらす影響への懸念だ。ENFJ型特有のフィードバックを受け続けると、過学習が起こる可能性がある。つまりENJF型の性格が、「より強いENFJ型」に深まってしまう恐れである。

中学・高校の多感な時期に、そのように人格の幅を狭めてもよいのだろうか。むしろ価値観や考え方の幅が拡がるアプローチも重要だろう。

また後述の適職判断についても、パーソナリティ理論に基づくアドバイスは可能であるが、将来の選択を固定化してしまう点には注意が要る。

なおパーソナリティによらず勉強は必要

アクティブ・ラーニング等の手法により学習が個人化されるとしても、それは「学習方法」の個人化であって、学習対象が変わるわけではない。

後述の適職判断が「働き方」に焦点を当てつつ、職業そのものを限るわけではないように、いずれのパーソナリティにも、様々な職域において適した役割を持つことができる。

そしてその可能性を拡げるにあたり、ベースとなる基礎学力は重要であり続ける。つまり、このパーソナリティだからこの教科は力を抜いてよい、という話にはならない。どのようなパーソナリティであっても、すべての強化をきちんとこなせる必要はある。


ゆずりはの適職はAIに代替されるか

『あなたの天職がわかる16の性格』がおもしろいのは、パーソナリティ毎に適した仕事を整理している点である。ただしすでに述べた通り、具体的な職業を挙げるというよりは、適した「働き方」に焦点を当てた説明としている。

具体例を見てみよう。本書によれば、ENFJ型は次のような仕事が向いている。

コミュニケーション

  • 人を理解し、喜ばせたいと思っているので、如才なく気を配り、外交手腕を発揮する
  • かた苦しい書き言葉よりも、くだけた口調で話すのを好む
  • ただし、多くはよき書き手でもある
  • 人と会い、情報を集め、取材を行い、扱っている問題の個人的な側面を理解したり、裏に隠れている事実を発掘したりする経過を好む
  • クライアントや同僚たちとすばやく良好な人間関係を築くことができ、説得力にも長ける
  • エージェント、プロデューサー、リクルーター、政治家としても有能
  • カリスマ性のあるリーダーになり、グループを円滑に率いられる

カウンセリング

  • 他人が自身を見つめなおし、満足できる幸福な人生を送る役に立ちたい
  • やさしくて思いやりに溢れた有能なセラピストになる資質を備える
  • 熱意あふれる聖職者になり、自分の価値観を人と分かち合い、持てる力を存分に発揮する人も多い

教育/福祉

  • 人と直接かかわり、成長と発達の手助けができるので、多くが教育関係の仕事に興味を持つ
  • 具体的な物事について教えるのを好み、自分なりの解釈や表現を付け加える
  • どんな意見も拒絶されることのない、調和のとれた協力的な職場で働きたい
  • 自分や他人の生活の質を向上させる機会があるため、福祉の仕事にもひかれる

ビジネス/コンサルティング

  • 人と親密な協力関係を築きながら一人で自立して働けるのでやりがいを覚える
  • 小規模グループで責任者となるのを好み、新しいやり方を考え、様々なことに挑戦していこうとする

AIに代替できるか

ゆずりはの適職にはコミュニケーションや身体を使ったものが多い。これは2019年現在のAIが苦手とするものである。が、2040年だとどうだろう。

例えば感情のような曖昧なものは、人間には定量評価が難しい。しかし現象としては、感情は微妙な表情変化、体温変化などの形で表出されていて、AIならばこれを読むことができる。つまり、AIは人間以上に人間の感情を計れる。

すると「相手の感情をきちんと汲み、適した働きかけをする」という能力も、人間よりもAIの方が長けてくる。これは、ゆずりはに向くとされるプロデューサー、リクルーター、カウンセラー、教育、コンサルティング、といった様々な職種においてキーになる能力のひとつだ。

では、2040年においてゆずりはの適職はAIに奪われているのだろうか。そんなことはないと思うので、ここでは「カウンセリング」を例に考えてみる。

一部の仕事は奪われる

機械には以下の特徴がある。

  • コミュニケーション・コスト(会いに行くコストを含む)が不要
  • 正確な判断がなされる
  • 場合によっては人間よりもセキュア(口を滑らさない)
  • 担当者によって相性が合わない、という個人差が起きない

カウンセリングというセンシティブな仕事において、機械が一定水準以上の信頼性を持つならば、むしろ人間よりも機械に頼った方が気が楽、というニーズは必ずある。

機械に対するよくある批判に「機械は人間より冷たい」というものがある。でも研究によれば実際には、人間は機械にも十分に感情移入でき、愛するペットや愛する人と同程度に愛情を注ぐことができる。したがって人間のカウンセラーにも十分温かみを感じられる。

また堅実なところでは、本格的なカウンセリングに至る前の一次判断や、企業の健康診断のようなB2B用途など、自動化・効率化が求められる場面でAIカウンセラーは活躍しうる。

しかし、すべての仕事はなくならない

AIが能力的に人間のカウンセラーに達するとしても、人間を扱う仕事である以上、「担当者が人間であってほしい」というニーズは必ず残る。それはそれが人間だからだ。

それにフレームの問題もある。カウンセラーの仕事は決して定型的なものではなく、相手の状況に合わせて、環境の状態に応じて、カスタマイズしたサービスを提供しなくてはならない。

仮にカウンセラーの仕事の9割をAIが代替可能であったとしても、残りの1割を踏まえて包括的にケアできることが重要だ。これはカウンセリング以外のすべての仕事に言えるだろう。肝心なところで気が回らなかったり、顧客特有のイレギュラーな処理が「例外なのでできません」では話にならない。そこで試行錯誤して解決に繋げられてこそ、仕事は全体としてきちんと回る。

あらゆる仕事において、この「残り1割」を支える役割を人間が担うだろう。この人間は、仕事の9割についてはAIをツールとして活用しつつ、責任者としてプロジェクトを進める。

ゆずりはの適職にみる「人間の仕事」

あらためてゆずりはの適職を見てみよう。どの仕事にも、人間にしかできないニーズが残る。

  • プロジェクトの当事者、組織の責任者、発意者とは人である(プロデューサー、リーダー)
  • クライアントは人間に話を聞いて欲しい(カウンセラー)
  • 模範としての教師は生徒と同じ人であることが必要(教師)
  • カスタムメイドなソリューション構築なので人が中心にいることが効率的(コンサルタント)

そしてこの観点から、ゆずりはは自分の将来を考えていくことになる。

とは言えまだ高校生のゆずりはにとって、それはずっと遠い未来の話だ。2040年においては、授業や宿題や、家族や友だちとの日常に浸っていて、まだ自分が働く姿も想像できずにいるだろう。

 

次回はこちら。

過去の議論はこちら。

ブレストの事前調査としてまとめた記事はこちら。

 

  

 

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