2040年の17歳・鷲尾野ゆずりはの1日を考える(3)2040年の教育と労働をちょっと掘り下げ

いなたくんへ

未来予測のアプローチの1つとして、ある年代の具体的なペルソナを設定し、その生活レベルで考えることを始めてみた。具体的には、2040年の高校2年生「鷲尾野ゆずりは(17)」の目線でその日常を考えていく。

第1回ではゆずりはの家族構成やプロファイルの決定、アクションアイテムの整理をした。第2回では、2040年の国際情勢や日本の社会をまず予想し、ここからゆずりは目線に落とし込んで考えてみた。

で、今回は第3回目なんだけど…。ネタ切れ気味というか、やっぱりきちんと下調べして情報揃えないと、ブレストしても意味のある成果が出にくいね。今回は2040年における「教育」「労働」について少し掘り下げてみた。

Summary Note

1.ゆずりはの家族構成を拡げる

2.2040年の女子高生はどうやって勉強するのか

3.2040年の人類は職を失っているのか

4.調査アイテム・検討アイテムの再整理


1.ゆずりはの家族構成を拡げる

2040年の鷲尾野家にとって介護が大きな問題である、という仮説を前回たてたので、家族構成を拡張してみた。

現状の家族構成は以下であるが、

  • 父(鷲尾野はしる):1988年生 52歳
  • 母(鷲尾野いと):1992年生 48歳
  • 兄(鷲尾野かける):2020年生 20歳(大学生)
  • 自(鷲尾野ゆずりは):2023年生 17歳(高校2年生)

これに父方の祖父母を加えたい。

  • 祖父:1955年生 85歳(33歳時にはしる出産)
  • 祖母:1958年生 82歳(30歳時にはしる出産)

簡単のため、母方の祖父母は母の兄弟が面倒を見ていることにする。

父方祖父母の所在だが、なんとなくだけど長野あたりに設定したい。ゆずりはの父・はしるは長野出身で大学進学の際に上京し、東京で就職、そのまま東京にとどまり子どもたちが育った。

この場合、80歳を超えた祖父母はどう暮らしているのだろう。可能性としては以下4つかな。

  • 1)長野で在宅介護を受けている
  • 2)長野の老人ホームに入っている
  • 3)東京の鷲尾野家と同居し、はしる一家が介護している
  • 4)東京の鷲尾野家が住む街の老人ホームに入っている

年齢を考えると、残念ながら(1)の可能性は低そう(1)。ただし、2040年の健康技術や遠隔介護技術、地域包括ケアの普及が進めば無いではない。

地域包括ケアといえば、2040年のこの時期には多くの自治体が消滅していて、地方においても主要都市(長野であれば長野市とか松本とか)への人口集約が起きているはず。祖父母も長野に留まるにしても、長野県内の都市部に移るか、都市部に存在する老人ホームにいるだろう。

また、地方自治体が全国的に消えていくなか、子ども世帯のいる東京に移り住むことも一般的になるかもしれない。その場合、東京に呼びつつも老人ホームに入ってもらう、という(4)の選択肢も十分あり得る。

という感じで、鷲尾野家の介護問題は引き続き掘下げたい。


2.2040年の女子高生はどうやって勉強するのか

人生の悩みの遷移図によれば、高校生の悩みの大部分を占めるのが「学業・受験・進学」だ。(ちなみに次に悩んでるのが人間関係なので、こちらもいずれ掘下げたい))

ここで2018年現在の高校生の勉強法をみると、「スマフォ・インターネット以前」とはずいぶん様相が変わっていて驚かされる。特に2番目の記事とか詳しく書いててありがたい。

私の高校時代に比べて目立つ変化は次の2点。

  • 1)オンラインの学習コンテンツを積極的に利用している
  • 2)LINEなどのコミュニケーションツールを使い、友人と遠隔相互学習している

これを起点に、未来の学習のあり方について考えてみた。

先生の役割は学習進度の管理や生活指導になる?

オンライン学習コンテンツの普及が進んだとき、先生や授業の役割はどう変わるだろう。「授業」をコンテンツと考えたとき、先生個人による制作物が、Webの集合知にかなうとは考えにくい。これは先生の良し悪しの問題でなく、制作にかかわる人の量の話である。

コンテンツとしての「授業」が学校外でも担保できるならば、先生の役割は例えば学習進度の管理とか、生活面の指導とか、そちらに比重が移るかも。スポーツの監督のようなイメージだ。

仮想空間の相互学習がさらに進む?

すでにLINEなどのオンライン・コミュニケーションを通じた自習が行われるが、将来はこれがさらに進んで、仮想空間で知り合った友人との勉強会とか起こるかも。ここでユーザ同士のマッチングや、相互学習の質は、例えばゲーミフィケーションのような仕組みで担保される。

2040年にも「詰め込み教育」は残る?

自習できるということは、生徒自身が学ぶべき目標を把握できていることになる。これはテストや宿題といった形で、学校がマイルストンを定めていることが背景にある。目標はやっぱり必要だよね。

ただ、ここで想定される「目標」って、詰め込みというか、生徒に何かを「覚えさせる」ことをゴールとしている。しかし未来においてもそういった学習はメジャーだろうか。もっと創造的で探索的な、別の形の学習目標もあったりしないだろうか。

とは言え、高校レベルの知識の詰め込みは未来においても必要な気はする。

生徒間の学力格差が拡大する?

学習ツールが発達し、勉強が効率化することで、生徒はより早く能力を伸ばすことができそう。もしかしたら2040年には、現在の高校レベルの知識を中学卒業までに習得できるかもしれない。

その一方で、「勉強の質」はツールへの慣れや、学習意欲の喚起度合いに依存する。そのため、生徒間の学力差は拡大するのかもしれない。自習の習慣になじめる子どもは飛躍的に学力を伸ばせて、そうでない子はいつまでも学力が伸びない、ということが起きてしまう。

学校は何を学ばせるのか?

前回も書いたけど、学校の目的のひとつには、社会で必要になる能力の獲得がある。2040年において、より多様な生き方・働き方が認められるなら、学校での勉強も、決められたカリキュラムの成績で測るのでなく、「自分の得意なこと」を伸ばす教育に変わっていることもありうる。そうすると、上述の学力差の話は問題ではなくなる。

このあたりはやはり未来の労働環境や、人生の過ごし方から詰めねばならない。


3.2040年の人類は職を失っているのか

人工知能が人間の仕事を奪う、という仮説がまことしやかに囁かれる。その帰結として資本主義が終焉し、ベーシック・インカムに基づく共産主義的時代になり、そうだとしても労働が完全になくなるわけではなく世の中はうまい感じに回る、という予想を以前に書いた。

私はこの方向性を信じているんだけど、とはいえ2040年という時間軸だとまだ難しいかも。いわゆる汎用AI・汎用ロボットもまだいない。「認識」をベースとする知的労働を中心に職が奪われるが、社会全体ではまだまだ人間が労働の主体である、という感じか。

ここで、労働の種類を次の3階層に分けてみる。

  • 意思決定(経営判断など)
  • 知的労働
  • 肉体労働・感情労働

中間の「知的労働」の多くと、それから下層の「肉体労働・感情労働」の一部が人工知能やロボティクスに任せられるようになって、労働者は減りつつ社会全体の生産性が向上する。

イメージとしては以下の図だ。数字は労働人口を、三角形の面積は社会全体の生産性を表す。人工知能技術により仕事は奪われ(図の暗い部分)、労働人口も18から14に減るが、各階層の労働人口比率は変化して、社会全体の生産性も向上する。

ここで労働人口の減少分(18→14)は、日本の人口減少を鑑みればちょうどよい。と考えたいところだが、少子・高齢化により「養われる人口」と「養う人口」の比率も変わるので、そう単純ではないだろう。

あとは「今後生まれる仕事」の予想なんかも参考にして、ゆずりはがどんな将来像を描いているのか、2040年における憧れの職業には何があるのか、次回以降考えたい。


4.調査アイテム・検討アイテムの再整理

という感じで、2040年を考えようにも、下情報なくブレストしてもなかなか本質的な議論にならない。早くもアウトプットが枯渇気味。インプット大事だわー。

第1回からずっとアクションアイテム整理ばっかりな気がするけど、今回も懲りずにToDoを整理した(それくらいしか考えられなかった)。ただ、向こう2~3ヵ月はちょっと調査に重点を置きたいとは思う。

(1)過去の定点調査をする

第1回から設定しているタスクだが、1974年、1996年、そして現在の3時点について調査をし、2040年の参考にしたい。調査対象は以下とする。

  • 流行(遊びとかグッズとか)
  • 生活サイクル
  • あこがれの職業

(2)学習の様子、未来の教育や学校について調べる

今回もちょっとブレストしたけど、実際の高校生に関わってる人から意見を聞いた方がよさそう。ということで、知人ベースでインタビューを実施し、彼らの未来観を確かめたい。

(3)2040年の技術の俯瞰図を作りたい

テクノロジーに関しては手を付けるとキリがなさそうで嫌なんだけど、介護なり教育なり日々の生活なり、テクノロジーの進化を踏まえずして考えられない。

アプローチとしては、全技術を洗うのは厳しすぎるので、介護なら介護、教育なら教育、と、このブレストでイシューに挙がる事柄別に、2040年のテクノロジーを考えていく。

が、とは言え2040年のレベル感は押さえたいので、まずはあまり時間をかけない感じで、「2040年のテクノロジー」の俯瞰図を作ろうと思う。

(4)Webベースでいいから調べたいこと

とりあえず以下について、Webでいいのでさっくり調べたい。

  • SNS普及に伴う若者の政治意識の変化
  • 現在における85歳の介護事情(できれば将来予測も)

(5)その他に検討したいテーマ

次の検討アイテムもいずれ手をつけたい。

  • 少子高齢化に伴う社会不安に人々はどう対応するのか
  • 「発想飛躍のためのテーマ」を選ぶためのブレスト
  • 2040年の生活を「夢」視点で発想する
  • 2040年のおもしろ職業

夢視点の発想、であるけど、調査ベースで考えると飛躍がないというか、近視眼的でつまらない予測に陥りがちだ。そうではなく「夢」ベースで考えるのも大事だよね、という自分に対する戒めである。


ということで…

今回も1時間程度ブレストしたが、下調べが大事と痛感したので今後はしっかりそちらにも時間を割きたい。

2040年のまとめ方としては、ディストピアシナリオとユートピアシナリオの2つの方向性で整理するのもおもしろいと思った。「あり得そうな未来」を考えると大抵つまらないところに落ち着いて、かつその予想は外れるので、きちんと振り切って考えることが必要だ。その軸として、「最悪」と「最高」の極端な予想は重要と思う。

 

次回はこちら。

過去の議論はこちら。

ブレストの事前調査としてまとめた記事はこちら。

 

  

 

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