ブログ概要

弦音なるよです。
当ブログでは「未来予測」と「知的財産」をテーマに、調べたこと、考えたことをレポート形式で紹介します。的外れな分析になることも恐れず、自由に考察していきます。

 
次の10年に影響を及ぼす技術は、すでに10年前から存在している

未来を考えるうえで、テクノロジーは比較的確度の高い予測根拠になりそうです。ソ連崩壊を予測できた政治学者がわずか一握りしかいなかったように、未来の国際関係や政治的事件を言い当てるのは困難です。これに比べると、テクノロジーは実証の積み重ねに基づくサイエンスの領域にあり、予想は易しいと言えるでしょう。

未来に普及するテクノロジーがすでに「過去に」現れている、という指摘もあります。ヒューマン・コンピュータ・インタラクション (HCI) の先駆者ビル・バクストン氏はBloombergの記事で次のように述べました。

Any technology that is going to have significant impact over the next 10 years is already at least 10 years old.

次の10年に重大な影響をもたらすテクノロジーのあらゆるものは、少なくとも10年前には存在している。

The Long Nose of Innovation(Bloomberg)より

たとえばパソコンの操作に欠かせないマウス。これが一般に認知されたのは1984年の初代マッキントッシュへの搭載であり、社会への普及は1995年のウィンドウズ95発売によるものの、その基本的な発明は1965年にされていたと指摘します。

同様の事例では、音楽のデジタル記録とランダムアクセスを普及させたコンパクトディスクなんかも。CDの製品化は1982年のソニー・フィリップスによりますが、この原理の発明も1965年にまで遡ることができます。

そこでこのブログでは、今ある先端技術や、研究中・開発中のテクノロジーにも触れていきます。こうした技術を俯瞰していくことで、なにか新しい景色が見えてくるかもしれません。

※定点観測もやっていきます。

 
ストーリー志向で考えてみる

もっともビル・バクストン氏は、発明が10年以上前に提唱されていたとしても、そのどれがイノベーションに結ぶつくかはわからない、とも付言しています。しかしながら、そうした予測を100とか1000とか重ねていくと、ぼんやりでも大きな傾向が見えてくる気がするのです。

傾向を見つるために意識したいのが「ストーリー」です。有名なのはMicrosoft。SF作家を招き、SF作品というストーリーを通して、未来の可視化を目指しています。

発想法の世界的ベストセラー『アイディアの作り方』(1940)は「アイディアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない」と指摘します。
未来にまつわる様々な予想、テクノロジーに限らず、人口動態だったり、国際関係や社会の在り方なんかも含まれますが、これらを未来に起きる「物語」として収束させるとどうなるか。そんなことも意識して、アイディアを組み合わせていきます。

この点で当サイトでは、ファンタジーやトンデモに属する予言など、確度が怪しかったり根拠の乏しい予測も排除せず、未来のヒントに考えます。
過去にされた未来予想には次のようなものもありました。「まさか」が起こるのが未来です。

実際に空を飛ぶ機械が、数学者と機械工の協力と不断の努力によって発明されるまでには、百万年から一千万年かかるだろう。

1903年のニューヨーク・タイムズ記事
(※この少し後にライト兄弟が初飛行に成功)

コンピュータは、売れても世界全体で5台だろう。

IBM社長トーマス・ワトソンによる、1943年の予想

 
知財制度を通して世の中を見てみる

知的財産に関する仕事をしているので、知財についても考えをまとめていきます。
特に特許は、出願から20年にわたり発明の独占を許し、企業戦略に大きな影響を与えるものですから、未来予測とも関係のあるテーマなのです。

知財がおもしろいのは、知財制度が産業政策・文化政策であり、テクノロジーを中心として、経済や国際関係にまでも視点が及ぶところです。例えばオープン・サイエンスは社会の発展を加速する上で無視できない話だし、最近では人工知能の登場が社会に及ぼす変化なども、当局は「人の創作」の観点から議論していたりします。

未来に続く現在の世界を横断的に見る切り口の1つとして、当ブログでは知財のイシューも眺めていきます。

 
ところで、いなたくんて誰よ?

当ブログでは2015年の記事より、「いなたくんへのレポート」という形式に文体を変更しています。
いなたくんは実在しない仮想の友人です。いなたくんは私の現実の友人の集合であり、当ブログの読者の皆さまと想定した人物です。彼向けのレポートの形を取ることで、新しく得られた知見の蓄積の観点で、少しでも記事がわかりやすくなればと考えています。
まあ、文書としてこの方が書きやすい、というのが大きいんですが。

 

更新はゆっくりになりそうですが、のんびりと考察を重ねていく予定です。
ご興味のある方はお付き合いいただければ幸いです。

 
2012/12/2 弦音なるよ
(2017/2/19 加筆・修正)

 

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