未来の世界に影響を与えるテクノロジー系ニュース8選・第6回(2015/10-12)

いなたくんへ

2015年10月から12月、テクノロジーに関してはイベント盛りだくさんの3ヶ月だった。
ノーベル賞では、イベルメクチン等の治療法発見により大村智先生が生理学・医学賞を、ニュートリノの質量発見により梶田隆章先生が物理学賞を受賞した。宇宙に目を向けると、H2Aロケット29号打ち上げ、はやぶさ2の地球スイングバイ、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入と、成功が相次いでいる。油井飛行士も無事帰還されたり。

個人的に大きかったイベントは、ついに2015年10月21日を迎えたこと。私にとって「未来」の象徴だったこの日、30年前の1985年からドクとマーティがデロリアンでやって来た。彼らの来訪はflightraderでも観測され、同日には俳優のマイケル・J・フォックスがスポーツ賭博のインサイダー容疑で逮捕されている。

ペプシ・パーフェクトや自動靴紐調整機能付きのNike Mag自己乾燥ジャケットもようやく発売された。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』で描かれたテクノロジーたちが2015年までに次々実現したことは、次の記事でも紹介したとおりだ。

そんな3ヶ月に起きたテクノロジー系ニュースについて、Twitterで拾えたものをTogetterにまとめてみた。超絶長いけどいろいろ起きてて楽しいよ!

と言ってもやっぱり長すぎて見てられないと思うので、この記事ではTogetterでまとめた技術項目それぞれの中から、特に興味を引いたニュースの紹介と所感を述べたい。


1.情報通信:ブロックチェーンへの注目とサイバー紛争・ネット統制

情報通信に関して、Togetterまとめた項目は次の通り(p1~

  • いよいよ実現する量子暗号・量子コンピュータの進捗と先端デバイス
  • ビットコインのいまとブロックチェーン技術、盛り上がり始めるFintech
  • 過熱の一途をたどる国家間サイバー攻撃
  • 各国で地味に進むインターネットの監視と管理
  • ビッグデータと検索

気になるニュースでは、あのビットコインの発明者「サトシ・ナカモト」の正体がついに判明。オーストラリアの起業家クレイグ・スティーヴン・ライト氏である可能性が高そうとのこと。日本人ではなかったのね。これまで議論を呼んできたビットコインは登場からすでに数年が経ち、金融機関をはじめ各国組織がブロック・チェーン技術を取り込むフェイズに入っている。

三菱東京UFJの柏木氏は2015年12月のアジア・イノベーションフォーラムでFintechに触れ、2015年が「金融とIT」における様々な要素が揃った1年だったと述べた。ブロックチェーンも含めて、2016年以降本格化が予想される金融分野の革命に注目したい。

サイバー攻撃は相変わらず各国(特定国?)激しくやり合われておるところ。同時に世界のインターネット規制も強まっており、ウェブ空間の未来には不安が募る。中国のネット鎖国と監視先進国化も進んでいて、ビッグデータ利用による素行評価や法整備など、最近の状況は次の記事でも紹介した。

いわゆるイスラム国によるパリでのテロでは、PlayStation4の仮想空間が使われたという話もあった。結局違ったようだけど、攻撃のための手段が多様化していること間違いがなさそうだ。


2.インターフェイス:使い道の広がるAR/VRコンテンツと触覚に注目

仮想現実や拡張現実、センシング、ウェアラブルなど、人や物をデジタルに繋ぐインターフェイス技術について。

仮想現実・拡張現実・インターフェイス技術(p2途中~

  • 拡がるAR/VRの要素技術や新型デバイス
  • 色々な使い道が模索されていておもしろい
  • でもやっぱりキラーコンテンツはアダルトだよね
  • 脳波・触覚ほか、先進ユーザ・インターフェイスも進捗

センシング・ウェアラブル(p3途中~

  • なんでもセンシングして情報化
  • IoT動向
  • ウェアラブルデバイス・身体埋め込み型デバイス

AR/VRは関連デバイスやソフトウェア開発キットなど要素技術が充実し、その上でアプリケーション(使い道)の提案が多様化していておもしろい。たとえば尿意と失禁を体験できる「ユリアラビリンス」とか、70人同時ホラー体験とか、PlayStationVRの宇宙開発利用とか、あとニコ動もVRアプリ出たよね。

Youtubeが今年から360度動画をサポートしていて、全天周コンテンツの普及も期待される。たとえば北朝鮮軍事パレードが覗けたり、いずれはプロスポーツのフィールドにも視座を移せるようになるだろう。生活に身近なところではバーチャル内見サービスもスタートした。そして普及と言えばカギを握りそうなのがアダルトコンテンツ。こちらは今後の躍進に期待したい。

VRを構成するインターフェイス技術のなかでは、触覚フィードバックが実現するとコンテンツの幅が広がりそう。また触覚フィードバックはVRに限らず、脳に信号を送ることで義肢に触覚を持たせるという話もあった。

他には脳波を使ったインターフェイスや、夢を思い通りに見る研究のニュースなんかもおもしろかった。実現しているものでは、下記動画のラルフローレンの試着室が未来的。ちょっと試してみたい!


3.人工知能:感情や機微の理解と、創作活動への進出(p4~

  • 人の感情・機微も察しはじめた人工知能
  • 各社が育てる人工知能の最前線
  • りんなちゃんTwitterデビュー!
  • 引き続き人工知能が奪っていく人間の仕事。クリエイティブも

3ヶ月おきのニュースのまとめを初めて1年半経つけど、人工知能の成長スピードがハンパない。女子高生AIのりんなちゃんはLINEに続いてTwitterもデビューし、人工知能にしては生々しいつぶやきを届けてくれる。ちなみにりんなちゃんは犬の画像を渡すと犬種を当ててくれるというのでキツネ画像見せたらスルー気味の回答がいただけました。

この3ヶ月で特に目立ったのは、人工知能が人間の感情や機微を察する方向に進化しているところ。もちろん「知能」といっても高度な機械学習に過ぎないとはいえ、人工知能が人間の感情を理解し、空気を察する能力を獲得するのも、本当に目前まで迫っているのだと思う。

また、人工知能は翻訳や弁護士業務などに留まらず、ミュージカルの創作などクリエイティブの分野にも進出。順調に人間の仕事を脅かしてる。この辺りは次の記事でもまとめた。

次の3ヶ月ではどこまで成長するのか、まさに日進月歩でちょっとこわい。


4.ロボット:ドローン関連法規制が整備、規制緩和も(p5~

  • 最新型ドローンと、対ドローン技術
  • ドローン利用の各種新サービスは順調に進捗
  • 具体化するサービス環境・法制度整備と、規制緩和
  • 生物模倣型など、ロボットも進化中
  • 自動運転車がいよいよ実現し始めている
  • 自動運転と「トロッコ問題」

官邸ドローン事件はずいぶん昔の気がするけど、まだ今年の4月の話だったのね。事件をきっかけに規制が進み、東京では事実上飛ばせなくなったりして閉塞感を感じてたけど、その一方で仙台や千葉などで規制緩和が進むなど、利用機会は失われずに済んでいる。
周波数帯割り当てや、外国では登録制度がはじまるなど、法的環境が整備されることで安心して利用を進めることができそうだ。

新型ドローンでは水・空両用型とか、水素駆動型で数時間飛べるものとか登場。またドローン対策として対ドローンレーザーは前回紹介したけど、ドローン捕獲用ドローンや、ドローンの動きを止める対ドローン電波ライフルなども登場した。

ロボットは生物を模倣したタイプが増えてた気がする。有名なBoston Dynamicsの犬風ロボットは米軍による採用は見送られたようだが、クリスマスにはトナカイに扮するなどほほえましかった。

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自動運転で興味深かったのは中国検索大手・百度のニュース。百度は一般道での自立走行試験に成功し、自動運転バスを3年以内に開発すると発表した。中国は一般道の交通マナーはわりとカオスな気がするけど、イレギュラーをどう解決していくのかとても楽しみ。


5.航空宇宙・軍事:宇宙開発の民間シフトと自作レールガン

航空宇宙開発(p6途中~

  • 各国・各社が開発中のロケット・宇宙船・宇宙用機
  • 米国の宇宙開発計画:NASAは月・火星・小惑星へ/ロシアも再び月を目指す…か?
  • 日本の宇宙開発計画
  • H2Aロケット打上げ成功/はやぶさ2スイングバイ成功/あかつき軌道再投入成功
  • 油井さんISSから無事帰還
  • 宇宙のあちこち活躍中の探査機・衛星たち
  • 事件は宇宙で起きている
  • 各国打ち上げ状況

宇宙関連は冒頭でも紹介した通り、国内の打ち上げや探査機は軒並み成功していて喜ばしい。一方で外国に目を向けると、例えば中国はこの3ヶ月だけでも8機のロケットの打ち上げに成功していてペースが速い。
また、垂直着陸型ロケットをブルーオリジン社とSpaceX社の両社が立て続けに成功させるなど、ロケットの形も変わっていくことが予想される。NASAは今後月・火星探査に注力し、国際宇宙ステーションからは「できるだけはやく出ていく」と発表、宇宙ステーションまでの移送を次々民間企業に発注しており、少なくとも地球近傍の空間では民間へのチャンスが広がりそうだ。

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この3ヶ月は宇宙関連のニュースが特に多かったように思う。探査機からの映像や、先進技術の進捗がたくさんあって、報告のツイートを見てるだけでも世界が拡がる気がして楽しい。

軍事技術・兵器(p9~

  • 驚異の新兵器たち
  • 変わる戦場の風景
  • 海底ケーブルを巡る争い
  • 個人で作れるDYI兵器

レールガンやレーザー砲を装備可能な米国の最新鋭駆逐艦ズムウォルトが完全にSFなのはさておき、兵器に関してこの記事では敢えてDYI兵器の1つ、自作レールガンを紹介したい。レールガンは以前米軍が映像を公開して話題になったけど、個人でも作れるのね!非対称の戦争こわい。

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6.バイオ:盛り上がるゲノム編集、独自路線をいく中国(p9途中~

  • 大村智先生ノーベル賞受賞!
  • 新たな治療・薬が拡げる可能性
  • ゲノム編集と生命の解明、中国の動向
  • ヒトの進化を促すポストヒューマン技術

バイオ関連ではゲノム編集のニュースがおもしろい。遺伝子を正確に編集できる第三世代ゲノム編集技術CRISPR/CAS9が注目を集めているが、遺伝子を切らない第5世代ゲノム編集技術「TargetAID」も発表されている。
テクノロジーは進む一方、ユネスコ専門医委員会がヒトゲノム編集の使用禁止を訴えるなど、ゲノム編集に関する論争は今後激しさを増しそうな予感。そんななか中国は天津に世界最大のクローン動物製造工場を設立したり、中国のバイオエンジニアリング企業Boyalife Groupが「人間のクローン作りにチャレンジするよ!」と発表するなど、独自路線に目が離せない。

遺伝子に関しては、DNAにデータ保存する手法の開発も興味深いニュース。DNAの情報圧縮効率ってすごく高いのよね。読み書きに課題はあるものの、全人類の情報を9リットルに収められるとのこと。将来実用化されれば、情報分野にも大きな影響がありそう。
ポストヒューマン技術では、人間の記憶のデジタル化がさらに進捗していた。


7.エネルギー:バッテリ残量問題解消と核融合(p10途中~

  • バッテリー残量問題解決:進化する発電技術/電池・給電技術
  • 電池と次世代モビリティ
  • 核融合点火と先端原子力発電
  • 農業技術と植物工場

現在モバイル機器のボトルネックになっているのが電池残量。鳴り物入りのアップルウォッチが時計なのに24時間連続使用できないなど、大きな制約となっている。しかし遠くない将来、デバイスは電池を気にせずに済むかもしれない。

電池容量自体が順調に伸びていることに加え、電波で駆動するチップや、非接触給電技術など、デバイス外から電力を受け取る技術、あるいは踏圧と微生物を利用したウェアラブル微生物燃料電池など、デバイス自身が発電する技術が進んでいる。

また、デバイス自体の消費電力も低下しそうだ。2~3年後には、シリコン半導体に比べて消費電力を大幅に抑えられる酸化物半導体によるLSIが実用化するとされる。酸化物半導体はディスプレイ分野ではすでに使われており、IGZOが有名。
また、技術の詳細は明らかではないようだが、消費電力がほぼゼロのディスプレイも発表されている。

エネルギーに関しては、ドイツの核融合炉ヴェンデルシュタイン7-Xの起動も注目だ。核融合は実現に向けて着実に進んでいる様子。次の動画は建設のタイムラプスと磁場の様子を解説したもの。

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原子力発電では中国も世代の進んだ技術を持っており、英国に「華龍1号」を建設することが決まった。2014年には、建設中の世界の原発約70基のうち、半数が中国製だったという。日本の原子力技術はどうなるだろう。そのうち日本も中国製の原発が建つのだろうか‥。


8.この3ヶ月で気になったおもしろガジェットたち

Togetterでのまとめでは他に次の3つの項目でも気になるニュースやつぶやきを集めてます。

最後に、この3ヶ月で見かけた素敵なガジェットを紹介。

Light L16

スタートアップ企業のLightによる、16個のカメラモジュールを内蔵するコンパクトカメラ「Light L16」が個人的にヒット。

16個のカメラモジュールのうち10個を同時に使って撮影し、画像合成することで最大5200万画素の高画質を実現。さらにリフォーカスも可能になる。2016年夏出荷予定。

このカメラについては懐疑的な声もあるが、将来的には多眼レンズによるライトフィールド撮影や、コンピューティショナル・フォトグラフィが普及していくかもしれない。本機はLytroに続き、そのさきがけとして注目のカメラだ。

DYIライトセイバー

この12月にはついにスターウォーズ・エピソード7が公開され、公開直後の週末観客数では日本以外の各国では堂々1位となっている。私も観たけど戦闘シーンが大迫力で満足だった。

そうすると自分もジェダイを目指したくなるというのは大いに理解できるところ。米国では日亜工業製高出力レーザーによりライトセイバーを自作する青年が現れた。米国はDYI兵器が盛んで楽しいですね。

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刃の色は青だけど、この人どちらかというとシスっぽい。

未来の国からはるばると

最後は中国のDYI。10月にドクとマーティが1985年からやってきた、という話は冒頭でしたけど、時間旅行者は彼らだけではなかった様子。下記写真の青年2人はドラえもんが使用するのと同型機に搭乗しており、おそらく22世紀から来たものと思われる。仲良さそう。

以上、2015年10月~12月におけるテクノロジー系ニュースについて、目立ったものを取り上げてみた。引き続き今後の進捗も楽しみにしたい。

次回3ヶ月のニュースのまとめはこちらから。
1.アダルトコンテンツが2016年のVR普及を牽引/2.遺伝子操作による恐竜再現と細胞にも宿る記憶/3.囲碁を制した人工知能はショートショートでデビューを目論む/4.自動運転車の公道走行@2020年に道筋/5.人も乗れるドローンは未来の交通事情を変える/6.民間宇宙機でシャトル型復活と各国の2030年までの有人月面探査/7.中国版1984と日本のオープンサイエンス推進、ムーアの法則終焉/8.面白ガジェットたち

前回3ヶ月のニュースのまとめはこちらから。
1.宇宙産レタスとウィスキー、火星の水の発見/2.MegaBot2から挑戦は米国との総力戦/3.ドローン軍事利用とドローンキラー/4.りんなちゃんはこれから進化し人間とチームを作る/5.AR/VRコンテンツのコラボレーションに期待/6.再生・培養される「男性」と脳/7.進化を続ける3Dプリント可能な材料・構造/8.おもしろガジェットたち

 

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