2015年10月21日まであと10ヶ月あまりになりました。今年の10月21日と言えば、デロリアンを改造したタイムマシンで、Dr.ブラウンがカリフォルニア州ヒルバレーに現れる日付です。マーティ・マクフライ・Jrが犯す犯罪を未然に防ぐ目的で、Jrの父であるマーティと共に、1985年からやってきます。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』は、私たちが2015年を迎える26年も前に、2015年の世界を垣間見せてくれました。今回はおさらいとして、実際に今年実現する(あるいはすでに実現している)テクノロジーを8つを紹介します。現時点でまだ未完成でも、すでにプロトタイプが発表されたものも多くあり、これらが残り10か月で完成することに疑いの余地はありません。
Summary Note
2015年10月までに完成するテクノロジー8つの、現在の進捗
- 1.ホバーボード
- 2.自動靴紐調整靴と自動乾燥服
- 3.「手を使うゲーム?」「赤ちゃんのオモチャみたい」
- 4.ドアノブがなくなる
- 5.ロール式壁掛けテレビ
- 6.街中のジョーズ
- 7.犬の散歩ドローン
- 8.空飛ぶ自動車
ホバーボードは少し大きめのニュースになったので、ご存知の方も多いのでは。
2015年のヒルバレーで当たり前のように使われているクールなガジェット『ホバーボード』。マーティは2015年から過去の世界にホバーボードを持ち帰り、重要なアイテムとして使います。これがいよいよ私たちの手にも入りそうです。
Arx Pax社は、バック・トゥ・ザ・フューチャーの舞台となったヒルバレーと同じカリフォルニア州にあるスタートアップ企業です。この企業が磁気浮遊式ホバーボードの開発に成功しました。
- 磁気浮上ホバーボードHendo Hoverboardが出資募集中、一台 約110万円。先着10台は完売(Engadget日本版,2014/10/24)
- 【遂に予約開始!】バック・トゥ・ザ・フューチャーの「ホバーボード」が、日本発売決定(TABILABO,2014/12/9)
現時点では地面に磁場を用意する必要があるようですが、2015年10月までには、地磁気でも浮遊できる程度に性能アップする可能性が確実視されます(ソースは『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』)。価格は今のところ100万円程度とのこと。10月までにはもう少し手の届きやすい値段にきっとなるのでしょう。
なお、磁気方式ではなくエア方式の「Mr.Hoverboard」も提案されています。
2015年到着時点で、Dr.ブラウンはマーティに2015年の服を貸しました。
特徴的だったものの1つが靴で、自動で靴紐を調整する機能がついています。調整後に光るのは「NIKE」のマーク。
当然ながらナイキは2015年10月までに、この靴を販売しなければなりません。ということでいよいよ発売が決定しました。
- ナイキ、バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡの自動靴ひも調節シューズを来年発売(Engadget日本版,2014/2/17)
- TINKER TALKS NIKE MAG 2015 RELEASE WITH POWER LACES AT #AGENDAEMERGE(NICEKICKS,2015/1/7)
なおEngadgetの記事によれば、ナイキは2009年に特許も出願済みとのことです。調べたらすでに登録になっていました。特許公開公報にはシューズの図面のほか、特徴的なシューズケースも載っています。
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劇中では靴以外にも、乾燥機能付きの服も登場していました。マーティがホバーボードからプールに転落した際、ジャケット内のファンにより数秒で濡れた服を乾燥させています。
ファン内臓の「空調服」は数年前から日本で発売されているのでおなじみですよね! 株式会社空調服によるロングセラー。たまに夏場に着てる人を見かけてビビります。
ただし乾燥機能付きの商品はまだ見ていないので、今年リリースされるということなのでしょう。
Itmedia
2015年のヒルバレーには、80年代を再現した「カフェ80’s」というお店がオープンしていて、任天堂による74年製アーケード・ゲーム「ワイルド・ガンマン」も使用可能な状態で置かれていました。
1985年から来たマーティはこのゲームをプレイしてみせますが、これを見た2015年の子供たちに「手を使うゲーム?」「赤ちゃんのオモチャみたい」と言われます。今年、少なくともカリフォルニアの一部地域では、手を動かすようなゲーム機が急速に廃れていく可能性が高そうです。
じゃあ2015年はどんなゲームがクールなんでしょうか? キネクトのようなジェスチャ認識を使ったゲームも有望ですが、身体を動かすのはだるいですよね。するとやっぱり、使うなら脳波かなと予想されます。
実際に脳波を使ったアプリやゲーム、脳波検出のための簡易デバイスが次々と発表されており、脳波を用いたゲームが一定の普及を見せることはありそうです。バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡで示された2015年の流行ゲームが脳波利用かどうかはわかりませんが、有望株の1つとして注目する価値はありそうです。
(追記)カフェ80’sで売っていたペプシ・パーフェクトも(当然のことながら)発売が決定しました。10月21日発売の限定商品とのことで、マーティが手にできたのは本当に偶然!
2015年におけるマーティの自宅にはドアノブがありません。プレートに指を押し当てて開くので、指紋認証など、何らかの生体認証を行っていると考えられます。
ドアからドアノブを取り除く取り組みは、「スマートロック」と呼ばれる技術としていくつかのスタートアップが取り組んでいます。
- ドアを進化させる「スマートロック」5選(動画)(WIRED jp,2013/6/21)
- WiLとソニーがスマートロック事業を行う合弁会社「Qrio」を設立、第一弾製品のクラウドファンディングもスタート(THE BRIDGE,2014/12/12)
Goji Smart Lock
スマフォとの連携によるものが多いようですが、いずれにせよ10月までにはドアノブは廃れ、スマートロックが普及し、その中には生体認証によりドアを開閉するものもあるのでしょう。鍵をなくしたり、気を失って警察に保護され家まで送り届けられても安心です。
2015年のマーティ宅には、薄型テレビはもちろんのこと、ロールカーテン式のディスプレイも登場します。窓に掛けられたディスプレイには風景チャンネルが映されており、その後巻き取って収納されていました。
プロジェクタによる投影と考えられ、特に超短焦点型プロジェクターであればスクリーンの至近に配置することが可能です。こうした製品が秋までに普及するようになると考えられます。
AV製品と言えば、グラス型ウェアラブル端末も利用されていました。マーティJrがこの端末で電話着信を受けています(あるいは通知のみか)。現在各社がこうしたグラス型端末を開発しているのは周知の通りです。マクフライ家でも購入したようですね。
映像技術と言えば、街中で現れる3Dホログラムのジョーズも特徴的なシーンでした。スティーブン・スピルバーグ監督の実の息子、マックス・スピルバーグ氏による「ジョーズ19」です。
こうした空中に立体映像を映し出す技術も、開発がしっかり進んでいます。複数種類の方式があるようなので、代表的なものについてそれぞれ記事のリンクを以下に貼ります。このうち2番目の粉体を音響場で浮かす技術、3番目のプラズマ発光利用は、触ることは難しそうなので、ジョーズ19で採用されていたのは1番目のホログラム方式かもしれません。
いずれにせよ10月までには、(少なくともカリフォルニア州の一部地域で)通行人を大いに驚かせることと思われます。
- 映像を立体的に空中に映し出すホログラム装置「Help Me Obi」がスゴイ!!『スター・ウォーズ』の世界が実現!?(コモンポスト,2014/7/29)
- 舞い散る粉の空中スクリーン Pixie Dust 。音響場による物体浮揚技術で粒子をスクリーン化(Engadget Japanese,2014/10/25)
- 空中に思い通りの表示が可能なスクリーンレス空中3Dディスプレイが画期的!!(コモンポスト,2014/11/11)
余談になりますが、マーティが遭遇したジョーズ19は「触れない」立体映像でしたが、空中のホログラムに触るための技術も開発が進んでいます。こちらも実現したら、新しいユーザ体験になりそうです。
- 宙に浮かぶ映像に触れる「空中触覚タッチパネル」を試す。超音波で触覚を再現(Engadget Japanese,2014/10/23)
- 動画:超音波で空中に触れる3D形状を作る技術、英大学研究者がデモ(Engadget Japanese,2014/12/5)
バック・トゥ・ザ・フューチャ―Ⅱは1989年の映画ですから、今年10月に「ジョーズ19」が公開されれば、実に26年越しの予告映像だったことになります。果たしてどうなるでしょうか。
2015年に来たマーティとDr.ブラウンですが、タイムマシンの開発に成功していたことが第三者であるビフにばれ、彼にデロリアンを奪われてしまいます。ビフはマーティがデロリアンから離れた隙に車を奪いますが、この隙を作ったのが、犬のお散歩ロボットでした。
これと全く同じことを実現した動画があったので紹介します。絵柄まで同じ。ドローンはコースをセットすると、人が操作しなくても勝手に散歩してくれるようです。
日本ではあまりポピュラーではありませんが、少なくともカリフォルニアの一部では、犬の散歩はドローンに任せられるようになっているようです。
Irorio
飛行と言えば! 2015年世界で欠かすことができないのが、空飛ぶ車です。デロリアンは2015年の技術で改造され、1955年に落雷を受けるまで飛行しました。
当然ですがこの空飛ぶ車も順調に開発が進んでおり、10月までには、少なくともカリフォルニア州の一部地域で、道交法が大幅に改正されることが確実視されます。
AeroMobilによる最新機「AeroMobil 3.0」は、2014年10月に披露され、公道走行後の飛行と着陸を果たしました。
Aero Mobile社
次のモデルではきっと翼がなくなり、ホイール部分が可変することが予想されます。
なお動力に関して、ロッキード・マーチン社が超小型核融合炉の実現を発表しました。車載向け融合炉の登場も待ち望まれます。
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以上、映画の公開は26年前でしたが、2015年である今年をしっかり描いており、非常に写実的な映画だったと評価することができそうです。
バック・トゥ・ザ・フューチャーに登場したテクノロジーの中でどうしても見つけられなかった発明が、次元転移装置でした。2015年よりも先の未来になるでしょうが、願わくば汽車に乗って現れる発明者が、この発明の内容を開示してくれると願いたいです。
ドクとマーティがやってくる2015年10月まであと少し。楽しみに待ちたいと思います。