いなたくんへ
文明シミュレーションゲーム「Civilization」マルチプレイの実況第6回。
第1回と前回記事はこちらから。
A.D.410に「弦」王国を建国するも、財政難にあえぐ弦の民。前回プレイでは、内政では通貨の導入と暦法の完成があった。外交に関しては、餃子の民と不可侵協定を結ぶも、マリが勢力圏を拡大して虎谷関を侵食する。これへの対処が急務となる。
今回プレイでは各民族の地勢が概ね明らかになったので紹介していきたい。蓋を開けてみたらちょっと予想外の結果であった。
Summary Note
A.D.920:「法律」の発明と律令制
マリの文化侵略が加速、防衛力強化へ
馬の民・餃子の民・シャカ族の勢力図
A.D.1100:大弦帝国の成立
次回戦略:「紅河作戦」準備
コラム:「法」というイノベーションと、虚構
なお、この実況はブログ『木牛流馬は動かない』の筆者氏とのマルチ実況だ。画面を見られてしまう都合上、実際のプレイと記事の公開とはタイムラグを設けていて、今回第6回は2018/2/25のプレイ内容である。
まずは内政から。
A.D.880に首都・天元府にて3人目の大科学者アルバート・アインシュタインが出現。これまでに生まれた2人の大科学者には「アカデミー」を建ててもらっていたが、大科学者には他に「発明」をお願いすることもできる。
アインシュタインには新たな学問体系として「哲学」を完成してもらった。「哲学」は「瞑想」と「文学」「演劇」の発展テクノロジーでもある。
「哲学」を世界で最初に完成させたことで、龍樹路に新たな宗教「道教」が創始された。
また、宗教制度として「平和主義」の採用も可能になったが、この採用は見送った。軍事ユニットの維持費が増大するためである。
続いてA.D.920に、「通貨」の発展テクノロジーとして「法律」が完成する。律令制国家への移行である。
「法律」の布告に伴い、各都市で裁判所の建設が可能になった。裁判所を建設すると、その都市の維持費を低減できる。
また、労働制度として「階級制度(カースト制)」の採用も可能になるが、これはまだ見送る。「階級制度」を採用すると、各都市での専門家雇用の制限がなくなるほか、工房の生産力が向上する。
A.D.960に征餃子鎮で文化遺産「マウソロス霊廟」が完成。効果として「黄金時代」の期間を延長できる。黄金時代については後述。
続くA.D.980には首都天元府にて「空中庭園」が完成。こちらは各都市の人口を増やせるほか、各都市の衛生を高められる。衛生が不足すると食料供給量が減ってしまうので、地味にうれしい効果である。
A.D.1020に征餃子鎮にて奴隷の反乱が発生、一時的に都市の生産が停止した。これまで奴隷制による緊急生産を各都市で行ってきたが、不満の蓄積が反乱に結び付いてしまったようだ。
武力鎮圧も選択肢ではあったが、ここは穏便に「原因となった奴隷の不満を調査し解消」を選択。調査費として国庫から11ワラジを引き出した。
さて、各民族の情勢を見ていこう。まずは前回虎谷関を文化侵略してきたマリから。
第2回プレイのB.C.400頃にマリを偵察して以来、その後は特に見てこなかった。しかし時間も経過しているし、改めてマリを偵察してみた。龍樹路と虎谷関から戦車を走らせる。
すると、マリの首都ティンブクトゥの北西の海沿いに「ワラータ」が、南西の海沿いに「ガオ」が建設されているのが発見できた。
で、文化侵略を受けた虎谷関はピンチなので、木牛流馬府で生産した弓兵を逐次防御に向かわせる。
また、虎谷関を守る戦士の装備を更新し、「斧兵」にアップグレードした。費用をかけることで、兵士は上位の装備にアップグレードできるのだ。
ちなみに斧兵の生産には「銅」または「鉄」が必要で、これはアップグレードでも同様である。このとき虎谷関と首都天元府とを繋ぐ街道が完成したため、銅と鉄が虎谷関に供給され、ようやく斧兵へのアップグレードが可能になった。
虎谷関と天元府とを繋ぐ街道沿いに第9都市を建設、「白蛇路」と名付ける。戦略的にはあまり意味がないのだが、この場所にマリに入植されると厄介なので、先んじて繋いだ形だ。中継都市に過ぎないので行政区分は「路」とした。
ところが同年にマリは「タケッダ」を建設。垜(あづち)山系を超え、木牛流馬府の真西に割り込んできた形だ。いい度胸しておる…。まだ弦国の勢力圏が押しているが、油断はできない。甲河を渡らせるわけにはいかない。
マリは虎谷関の勢力圏を大幅に削り、その地域の開発を急ピッチで進めている。我が国としてはともかくも、前線の防衛戦力を強化するより仕方がない。
A.D.1180時点においてこの地域に配備される戦力は以下の状況であった。
弦領「虎谷関」
- 斧兵×1
- 弓兵×4
- 長弓兵×1
- 戦車×1 ※ニアニ、タードメッカの偵察
マリ領「ニアニ」
- スカーミッシュ兵(強化された弓兵)×2
- 斧兵×1
- 剣士×1
マリ領「タードメッカ」
- 斧兵×1
- 槍兵×1
- 長弓兵×1
なおマリとは北西でも勢力域を接しており、「龍樹路」にも弓兵×2、長弓兵×1を配備した。
弓兵・長弓兵は都市防御に優れた兵種である。今回前線への配備が進んだことで、虎谷関、龍樹路ともに、奇襲により奪われることはなくなった。とは言えマリの戦力強化も顕著であり、油断はできない。
緊張関係にあるマリとは以上のような状況であったが、他の異民族との状況についても紹介したい。
A.D.880に馬の民の首邑カラコルムで炭鉱事故が起こる。馬の民はA.D.710にトゥルファンでも同様の事故があったばかりで、不幸が続く。
そんな馬の民の領土について、斥候による探索が進み、その全貌が見えてきた。
東部では「アルマリフ」「ウランバートル」の2都市を発見。この地域は餃子の民の勢力下にあるとばかり思っていたので驚いた。丁河沿い、トゥルファンの南には「カザン」も確認できる。なお「青源」は餃子の民の都市。
西部、龍樹路の北では「タブリーズ」を確認。こちらは以前「寧夏」のあった地域である。タブリーズと首邑カラコルムとの間には「サンチュ」も確認。
数えてみると、馬の民は合わせて11都市を擁する一大勢力であることがわかる。現在はまだ多くの都市が立ち上げの段階のはずで、維持費など財政に苦しんでいると予想されるが、将来これらの都市が成長し経済力・生産力を伴ったとき、馬の民は無視できない力をもつことになる。
現状こそ友好関係にあるものの、馬の民は弦国の最大の脅威となるかもしれず、注意が必要になりそうだ。
餃子の民はA,D.980に文化遺産「シェダゴン・パヤ」を、さらにA.D.1080には文化遺産「聖誕教会」を完成させるなど、変わらずハイペースである。
また、A.D.1000には大芸術家により「黄金時代」に突入した。「黄金時代」とは、大科学者や大芸術家といった偉人によりもたらされる、商業力・生産力が一定期間爆発的に伸びる時代を指す。
なお餃子の民の勢力のみまだ全貌が明らかでないので、次回以降確かめたい。
馬領ティフリスで捕縛された密偵「三蔵」に代わって、前回「悟空」をシャカ族の勢力圏に送り込んだ。その探索の成果があり、シャカ族の領土の全貌が明らかになった。
ちなみに天元府や木牛流馬府を育て、馬の民の勢力下を北上していた甲河は、シャカ族の首邑ウルンディに通じていることがわかった。
全部で7つの都市が確認できた。正直言ってノバンバ北方にはもう少し広い土地があると思っていたので拍子抜けだったり。
前回発見していた北方の都市「ノンゴマ」「チェロキー」も、都市圏に氷土がありあまり優良な都市とは言えないだろう。ちなみにチェロキーはA.D.440に蛮族から奪った都市だね。
ただし海に面した都市が多く(4都市)、造船能力は高そうなので、その点には注意が必要だ。特にウルンディとノンゴマに囲まれる北部の内海(「ノンゴマ海」と名付けた)が軍事利用された場合には厄介である。
A.D.1060に龍樹路で異民族の密偵を摘発したとの一報が入る。
どこの密偵だろう。ためしにシャカ族にカマをかけてみると…
簡単にゲロした。うーん、この始末、どうしてくれよう。
シャカ族は密偵を送り込むようなゲスですよ、ということを示すべく、いちおう馬の民と餃子の民にも報告はしておく。
「三蔵」のときもそうだったけど、摘発を受けた密偵はそれを最期に消されてしまう。その活動内容まではうかがい知れない。
以上が馬・餃子・シャカの3民族の現状であった。餃子の民を除いておおよその勢力を明らかにできた。
馬の民はその勢力圏が広く脅威化が予想される。今後の動向には注意し、現状の友好関係を維持したい。また、文化遺産を多数擁する餃子の民も引き続き警戒を怠れない。
シャカ族は勢力圏を接するわけでもなく、馬の民、餃子の民に比べて力をもつとも思えないので、特に気にする必要はなさそうだ。ただし万が一馬の民が敵性化した場合には挟撃を頼むなど、協力関係は模索できるはずなので、時勢を見て関係を作っていければと思う。
さて、各異民族の状況を確かめたところで、再び弦国の内政に目を戻してみる。
「君主政治」の発展として、A.D.1060に弦国で「封建制」の概念が確立する。これは、異民族を封じて弦国への従属関係を明確にさせる、という考え方だ。
これを唱えたのは、マリへの攻撃を主張する急進的一派であった。彼らは進まぬ内政改革と、現王政のマリに対する弱腰を糾弾、弦王家・羽氏の傍流にあたる弓摺羽氏をかつぎあげ、A.D.1080の革命に発展した。内乱はA.D.1100に終息し、弓擦羽氏が覇者となる。
弓擦羽氏は、弦の民こそが王の中の王であり、異民族をも統べる天命にあると内々に宣言。自らの地位を「皇帝」と定め、国号を「大弦帝国」に改めた。
政治制度としては「主従制」を採用。これにより各都市で生産される軍事ユニットの、生産時の経験値が向上する。
帝政移行に伴い複雑化する社会を効率的に治めるべく、A.D.1180に「官吏」が確立する。これは「数学」と「法律」の派生テクノロジーで、農場の灌漑が可能になり、各都市の生産力が強化される。
同年には首都・天元府で4人目の大科学者アンドレイ・サハロフが誕生。官吏の仕事をより効率化すべく、「紙」を発明してもらった。「紙」があると異民族との地図交換が可能になる。もっとも我が帝国は自前で探索できているので、地図交換の予定はない。
といったところで今回はここまで。
大弦帝国は世界を統べるものであるが、その対象には当然マリも含まれている。しかるに、虎谷関を犯すマリは誅されねばならない。
弦皇帝は軍備増強を指示するとともに、マリへの軍事行動の準備を下命。これを受けて「紅河作戦」が立案された。その内容は以下の通りである。
- 第1段階(虎谷関開放):タードメッカ、ニア二を攻撃
- 第2段階(丙河域紅化):ジェンネ、ケンビ・サレー、オーダコーストを攻撃
この準備として防衛戦力と攻撃軍の編成が必要になる。
ここで、創設される帝国軍の部隊編成単位としては以下が採用される。
- 小隊 =1ユニット
- 中隊 =3個小隊 =3ユニット
- 大隊 =3個中隊 =9ユニット
現時点ではマリからの先制攻撃を受ける恐れすらあるし、マリに侵攻して逆襲されることもあるだろう。したがってまずは防衛力の強化が必要である。
前線となる2都市には以下の戦力を設ける:
- 虎谷関 …弓兵1個中隊(3ユニット)
- 龍樹路 …弓兵2個中隊(6ユニット)
弓兵は都市防御に優れるため、2倍から3倍の敵に対処できる見積もりである。
なお龍樹路よりも虎谷関の常駐戦力の数が少ないのは、攻撃軍の侵攻を虎谷関からスタートするため、つまり虎谷関には攻撃軍も駐留するためである。
天元府、木牛流馬府、白蛇路も攻撃を受ける恐れがあるので、こちらには以下の戦力を置く。
- 各都市 …弓兵2個小隊(2ユニット)ずつ
- 当領域 …弓騎兵1個中隊(3ユニット)
弓騎兵中隊はマリの侵攻先にあわせて動かす。
攻撃軍としては以下の戦力を準備する。
- 都市攻撃 …斧兵4個中隊(12ユニット)
- 部隊防御 …弓兵1個中隊(3ユニット)
さらに、占領した都市を確保しておくための弓兵1個中隊(3ユニット)と、攻城兵器の開発も行わねばならない。あとは行軍中や防御部隊の回復のための衛生兵も必要だなー。
現状では龍樹路に弓兵1個中隊(3ユニット)、虎谷関に弓兵等2個中隊(6ユニット)があるのみで、上述の戦力はほぼ存在しない。次回はこの生産にかかりきりになりそうだ。
馬の民とは友好関係にあり、餃子の民とも不可侵協定を結んでいるので、背中を刺される心配はない。安心して軍編成に集中できる。
B.C.4000に甲河沿いに定住して5000年、「農耕」「宗教」「筆記」など数多の革命的テクノロジーを生み出してきた弦の民だが、A.D.920に成立した「法律」もまた、その歴史を語るうえで欠かせないイノベーションと言えるだろう。
「法」とは、社会秩序を維持するための規範である。同様の規範には元々「道徳」があった。「法」が「道徳」と異なるのは、国家権力による強制力がある点だ。その基準は事前に成文法として布告されたり、過去の判断事例が尊重されることもある。
行動の結果に対する賞罰がルールとして明示されることで、民は自らの行動の結果を予見できる。これは社会活動の円滑化を実現するとともに、社会にとって好ましくない行動が抑止される。
ということでCiv4世界では、裁判所を建てることで都市の維持費を半減できる。
ほう【法】(ハフ)
2 社会秩序を維持するために、その社会の構成員の行為の基準として存立している規範の体系。裁判において適用され、国家の強制力を伴う。法律。「法のもとの平等」「民事訴訟法」
デジタル大辞泉より
こうした「法」の正体について、並行世界の人類史を整理した『サピエンス全史』(2016)はこう述べている。「虚構である」と。
並行世界の人類学者ロビン・ダンバーによれば、「ヒトが安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」はおよそ150人とされる(ダンバー数)。
しかし農業革命により人口が爆発的に増大すると、ヒトは集団の秩序を維持するため、新たな仕組みをもつようになった。それが「虚構」である。人々は「想像上の秩序」を信じることで、物質世界においても秩序を保とうとした。
「虚構」は、初期には「神話」の形で現れた。このことは、世界で最初に神の存在を体系化した弦の民に明らかである。上述の「法律」もまた、実体なき「想像上の秩序」の一例と言えるだろう。
『サピエンス全史』はこれを「虚構の世界が物質世界を飲み込んだ」とみる。
『サピエンス全史』はさらに、時代が下っての次の3つの普遍的秩序に発明に注目する。
- 「宗教」(超人間的秩序)
- 「貨幣」(経済的秩序)
- 「帝国」(政治的秩序)
宗教は秩序に正当性を付与する。
貨幣(弦国で制度化された「ワラジ」)は、これを信じる人々の範囲に経済の単一化をもたらす。
そして「諸民族の王」なる虚構に基づく「帝国」は、異民族の多様な文化をも包括し、世界の人々を潜在的な臣民として、統一した秩序の下に結び付ける。
『サピエンス全史』によれば、この3つの普遍的秩序が、誰もが統一文明の内部に組み込まれうる可能性をもたらし、(並行世界の)人類を統一に向かわせた。
ということでA.D.1100に成立した大弦帝国もまた、世界を呑み込む統一の「虚構」となる可能性を秘めている。その最初の段階となる「紅河作戦」の推移について、次回以降みていきたい。
次回はこちら。
- Civ4五大国決戦・弦音視点(7) (※準備中)