搭乗型・憑依型・無人型‥、ヒューマノイド・ロボットの最近の進化まとめ

いなたくんへ

理系大学生と女神さまの日常(といえるのか?)を描いた『ああっ女神さまっ』というマンガがある。その第19巻(1999)では、二足歩行ロボットの実現に苦慮する大学教授が登場する。当、は二足歩行ロボットは確かに夢で、1つの到達点とされていた。

二足歩行はその直後に実現したが、あれからさらに時代は進み、バク宙するヒューマノイドや、搭乗型巨大人型ロボ同士の対戦など、SFと見まがう進化が実現している。

最近のテクノロジー系ニュースから、今回はヒューマノイドを中心にロボットに関するものをまとめてみた。

Summary Note

1.実現した搭乗型巨大人型ロボット戦

2.リアルな人型ロボットへの憑依が空間を接続する

3.身体能力の驚異的進化と、心の在り処


1.実現した搭乗型巨大人型ロボット戦

最近の出来事で大注目だったのは、水道橋重工のクラタスと、米国MegaBotsによる史上初のモビルスー……搭乗型巨大人型ロボット同士の対戦だ。結果として我らがクラタスは1体目を倒したものの、新型機のチェーンソーには敗れる形となった。

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砲撃を受けつつ近接戦闘に持ち込んだクラタス(上)
MegaBots社Eagle Prime mk3のパイロット(下)

二対一とか、てかチェンソートかありかよ!と、若干プロレス感もあるものの、むしろ「巨大人型ロボットによるプロレス」という新ジャンルが21世紀のスポーツとして確立されるかもしれない。

巨大ロボットではないが、スマフォで一人称視点のロボット対決ができる「GEIO」も楽しそう。これも一種のテレプレゼンスと言えるかな。

重機としての巨大ロボット

米国では「パワーローダー」の製品化も実現。もっともこれは搭乗型ではなく、VRヘッドセットで遠隔操作する憑依型だが、今後クラタス的なもの、MegaBots的なものを新ジャンルの重機として目にする機会も増えるかも。

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ヒューマノイドからはさらに話が外れるけれど、業務用途では化学実験の機械化・自動化も地味にインパクトが大きそう。研究の現場でのルーティン・ワークが解消されれば、一気に効率化が進む。

 
ヒューマノイドを実現する要素技術

ロボットを構成する技術にも注目だ。

パナソニックは非接触給電によりロボット関節の非ケーブル化を実現。エネルギーのロスがないのか気になるが、設計自由度は大きく上がりそう。

MITとハーバード大は自重の1000倍の重量を持ち上げ可能な人工筋肉を開発。特徴は1ドル以下の材料を組み立てて作ることによる低コスト。ソフトロボットへの活用が期待される。


2.リアルな人型ロボットへの憑依が空間を接続する

ロボットが人型としてリアリティを増すことで、人型ロボットに憑依しての「空間の接続」が実現する。

トヨタの第3世代ヒューマノイドロボット「T-HR3」はHTC Viveと連動しての遠隔操作を実現する。遠隔地のロボットに憑依して視界を得る「テレプレゼンス」はこれまでも提案されていたが、29関節によりユーザの動きをここまでリアルに投影できると、用途の幅も広がりそうだ。

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同様の技術は例えばGITAIなども開発しており、「瞬間移動が可能になる」との触れ込みで1.4億円を調達した。

テレプレゼンス・ロボットと政治的波乱

そんななか、スイスで開かれたインターネットに関する国連国際会議で、台湾の閣僚がロボットを通じて出席するという一幕があった。これは台湾を排除しようとした中国への対抗措置で、台湾閣僚の発言後、中国は抗議したという。

テレプレゼンス・ロボットによる会議への奇襲的出席、胸アツすぎる。
これだよこれ、私が21世紀に求めてたのは!

ロボットに憑依しての生活が当たり前になった社会は映画『サロゲート』(2009)でも描かれており、その未来像は以前まとめた。


3.ロボットの身体能力の驚異的進化と、心の在り処

自律型ヒューマノイドと言えば、その驚異的な身体能力で世界を驚かせてきたボストン・ダイナミクスが、人型タイプの「アトラス」でバク宙を実現。この性能には恐怖すら感じてしまうが、最後のガッツポーズで帳消しに。

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なお人型ロボット開発には川崎重工も参戦とのこと。マッチョでいいね。

非ヒューマノイドの生体模倣も実現

記事タイトルを「ヒューマノイド」としておきながら恐縮だけど、非人型にも注目したい。

ボストン・ダイナミクスが以前発表した四足歩行型ロボット「Spot」は、中国のベンチャー企業も類似する機体「Laikago」を開発していて収束進化の感がある。そんななか本家は「Spotmini」の改良型を発表、、カラーリングに若干のブルースリー感あるものの、よりスマートな外観となった。カメラ覗く仕草かわいい。

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非ヒューマノイドでユニークなのは、ヘビ型ロボットの実現だ。ハシゴ昇っててすごい!
ヒューマノイドや多脚型ロボットに期待されるのはその走破性だが、ヘビ型はこれをさらに超えた移動が可能になる。生体模倣の例としても、センサユニットとしての用途としても注目だ。

 
aibo復活にみる機械の「心」

ヒトや動物に匹敵する、あるいはそれを超える身体能力を得つつあるロボットだが、「心」の発達にも注目である。

ソニーはペットロボット「aibo」の新モデルを12年ぶりに発表した。

aiboの進化を通して考えさせられるのは、12年の間に起きたテクノロジー環境の変化と、そしてロボットにおける「身体」と「心」の在り方である。クラウドと実体間での機能分担は、他のロボットでも起こるだろう。

 

以上、最近のニュースから、ヒューマノイドを中心としたロボットの話題をまとめてみた。今後どこまでヒトや動物に近づくのか、あるいはそれを超えて、人とどう協働するのか、引き続き注目したい。

最新テクノロジー系ニュースのまとめの本編と、その他の記事はこちらから。

 

  

 

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