東京最後の大開発で、2020年に向け国際都市・東京の躍進は成るのか(『山手線に新駅ができる本当の理由』書評)

2020年のオリンピック東京招致が決まって、経済の活性化が期待されてます。
ところで2020年の東京ではもう1つ大きなニュースがあったりします。それは2020年に品川・田町間に山手線30番目の新駅ができ、一帯が再開発されるという計画。
一連の再開発とその影響を解説した『山手線に新駅ができる本当の理由』では、東京がアジアに名だたる国際都市を目指していることが紹介されていました。今回はこの本を頼りに、未来の東京がどのように変わっていくのかみてみたいと思います。

山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)

Summary Note

『山手線に新駅ができる本当の理由』で述べられていたこと

  • 東北縦貫線開通(2014年)、品川・田町間の山手線新駅と周辺開発(2020年)、その他鉄道開発など、今後東京で大規模な都市開発が続いていく
  • 政策面では「アジア・ヘッドクォーター構想」をはじめとした東京の国際都市化が計画されている

東京の魅力とは?

  • 「世界一クリエイティブな都市」に選ばれるなど、東京は多くの魅力を有しており、その強みを生かしてさらに発展することが期待される

 
品川界隈の交通がものすごく便利になる(本書より)
まずは新駅開設をはじめとする、本書で紹介されていた今後の開発計画をまとめてみました。すでに進んでいる計画もあり、未来予測としては確実性が高そう。

2014年:東北縦貫線の開通
東京を終点とする東北新幹線と、品川を終点とする東海道新幹線が接続されます。さらに、常磐・宇都宮・高崎線が東海道線と接続されます。
これにより東京以東・以西を結ぶ交通が格段に便利になるだけでなく、山手線で最も混雑している上野近辺の状況が改善されます。

2020年:品川・田町間に山手線30番目の新駅ができる
上述した東北縦貫線の開通で、現在品川・田町間にある車両場が不要になるため、この跡地が再開発されます。用地は東京ドーム15個分(15平方キロ)で、著者曰く、東京における最後の大規模再開発になるだろうとのこと。
広さを東京ドームで換算されてもピンと来ないのは私だけですかね。15平方キロというと4キロ×4キロですか。おお、なんかすごい広そう!

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中央のオレンジ部分が開発予定地域(Google mapを加工)

本書では丸の内や渋谷ヒカリエなど、他の開発計画との比較もしていました。品川・田町間もこれらエリアと同様に、土日も楽しめる素敵なエリアが出現するんじゃないかいうのが著者の予想。楽しみです。

ところで目標年がオリンピック開催の2020年と被ってますけど、オリンピック向けの整備計画とどっちを優先するんでしょう。個人的には両計画とも、オリンピックに間に合うようにがんばってほしいです。

2020年:品川駅を横断する道路ができる

いまは品川駅を越えようとすると駅構内を歩くしかなくて、車で通ろうとすると大きく迂回しなきゃなんですよね。ここをバイパスできるのはありがたいです。こちらも当初予定は2020年ですが、オリンピック前に完成させるのかな。

計画中:品川・六本木間を結ぶ新たな地下鉄の計画
六本木・赤坂は品川から4kmしか離れていませんが、鉄道でアクセスしようとするとかなり時間がかかります。これを解消する路線を作ろうというのが本計画。動機となるのは、再開発され国際化する品川と、六本木・赤坂との連携です。国際化については後述です。

計画中:成田・羽田空港鉄道のアクセス改善
成田・羽田間のアクセスを改善し、両空港を一体活用することで世界トップクラスの空港にしようという計画。計画中ですが、オリンピックでたくさん外国人が来ることを考えると、それまでに間に合わせて作ることもありえるかも。てか外国行くと思うけど成田の遠さはやっぱりやばい。

計画通りなら、成田・羽田間の所要時間が92分から59分へ短縮され、丸ビル・新丸ビルの間くらいに「新東京駅」ができるそうです。

2027年:品川・名古屋間を結ぶ中央新幹線(超電動リニア)の先行開業
リニア開通により名古屋・関西圏との時間距離が格段に短縮されることになります。
リニアについては同著者による『リニアが日本を改造する本当の理由』で詳しく解説されており、東京・名古屋間の所要時間は40分と、現在の半分以下の時間ですむみたい。

気になるお値段はというと、現在の新幹線料金+1000円程度(11480円)で、そんなに高くはなりません。そもそもリニアの背景には、東海道新幹線老朽化に対する大規模改修工事がはじまるので、その代替交通手段という意味合いもあるようです。

リニアが日本を改造する本当の理由 (メディアファクトリー新書)

けっこう色んな開発が予定されてて、オリンピック以降の東京が大きく変わりそうな予感でいっぱいです。
目玉は交通網がより便利になることと、品川・田町間に素敵な街が誕生しそう、と言ったところでしょうか。それら開発のための建築業界の潤いも、日本経済への好影響に繋がりそうで期待できます。

 

アジアヘッドクォーター構想で東京の国際都市化が進む(本書より)

交通・都市開発の観点でワクワクが止まらなそうな東京。本書は再開発だけでなく、「アジア・ヘッドクォーター構想」をはじめとする政策にも着目し、紹介していました。

「アジア・ヘッドクォーター構想」とは、すでに国際都市として名高いシンガポール、香港、北京、上海を仮想敵とし、欧米多国籍企業やアジア成長企業のアジア拠点・を東京においてもらおう! という戦略。2016年までにこうした拠点を50社以上、その他の外国企業500社以上を誘致することを目的としています。

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赤いエリアがアジアヘッドクォーター特区(Google map及び東京都HPより)

特に品川・田町駅周辺地域においては、内閣官房による「国際戦略構想特区」と内閣による「特定都市再生緊急整備地域」にも指定されており、法人税が実効40.7%から28.9%まで下がるとのこと。これも外国企業誘致に有利になります。
もっとも著者はアジア圏の他の都市の法人事業税も併記していて、これが15~26%とのこと。うーん、税金下げても、それだけでは他の都市には勝てないみたいですね‥。

他に興味深かった指摘としては、外国人の中にはお手伝いさんを雇う文化があるので、いっしょに来るお手伝いさんにもビザを発給できるようにしないと、日本に来にくいんじゃないの? というものがありました。これは日本で過ごすと気付きにくいところ。

 

他国都市に対する東京の魅力ってなんなんだろう

都市計画や住みやすさ・暮らしやすさはあくまでハードウェア的なものに過ぎません。外国企業誘致や国際化のためには、ソフト的な強み、つまり「東京だからこそイノベーションを生むことができる!」という理由付けも必要な気がします。
東京は物価や人件費が安いわけでもないし、著者も指摘する通り税金面で顕著に有利ということもありません。じゃあなんで外国人は東京を拠点に選ぶんでしょうね。 本書で紹介されていた都市計画や政策では、その説明がされていませんでした。

たとえばイスラエルやシンガポールは、日本に比べて遥かに国土も人口も小さいですが、企業や人が集まってます。その背景には、イスラエルなら高度な軍事技術、シンガポールなら独裁政権ならではの大胆な政策と、それぞれ個性があるわけです。東京も東京らしい強みがほしいところ。

東京は世界有数の「クリエイティブな都市」

そこで1つおもしろいニュースがありました。

こちらは2012年3月に米Adobe Systems社が行った、クリエイティビティに関する調査。対象は米・英・独
・仏・日の18歳以上の成人5000人。調査地域が欧米に偏ってはいるものの、日本は特に欧州3か国からの人気が高く、2位の米国を引き離して「最もクリエイティブ」の評価を受けています。ちょっと嬉しくなりますね。

他にも魅力はたくさん

他にも東京の魅力を調べてみると、こんなものもありました。

上位を見ると、優れた鉄道システム、美しい街である、デパ地下の発展、渋谷の横断歩道といったものが挙がっています。

また、ニューヨークやパリやロンドンや、そうした外国の都市と比べるて、東京という1つの都市に様々な個性をもつ町が寄せ集められているところも、魅力の一つになっているようです。

直接関係ないけどおもしろかったのでこちらも紹介。成金スイーツから貧民までの分布を示した、独断と偏見による東京のエリアマップです。

都市開発と政策により発展の期待される東京。ぜひ強みをもっと活かす形で、世界に誇る都市として成長してもらいたいですね。

 

山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書) 東京2020計画地図 東京五輪で日本はどこまで復活するのか (メディアファクトリー新書)

 

※この記事は2014/1/12に掲載した記事を、2014/6/6に一部修正したものです。

 

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