政策は文化の切り売りでなく、文化が生まれる環境づくりを(他国都市に対する東京の魅力・追記)

2020年の山手線新駅完成や、東京の都市政策について解説した『山手線に新駅ができる本当の理由』。本書で述べられていたことの紹介と、東京の他国の都市に対する魅力について記事を載せました。
例えば東京は欧米の若者に対する調査で「世界一クリエイティブな都市」に選ばれるなど、魅力のある都市として評価されているようです。

東京の魅力に関しては他にも思うことがあったので、ここに追記します。

クリエイティブな政策といえば「クール・ジャパン」!

クリエイティブに関する政策で思い出されるものに、クール・ジャパン戦略がありました。どんなものだったか、改めていくつか言葉を拾ってみます。

世界が共感する「クールジャパン」の海外進出促進、クリエイティブ産業の育成や国内外への発信などの施策を業種横断的、政府横断的に推進しています。

経産省webサイトの「クールジャパン/クリエイティブ産業」

クールジャパン(英称:Cool Japan)とは、日本の文化面でのソフト領域が国際的に評価されている現象や、それらのコンテンツそのもの、または日本政府による対外文化宣伝・輸出政策で使用される用語である。

wikipedia「クールジャパン」

動機付けとなるのは「クールジャパン官民有識者会議」での提言です。2020年の世界文化産業市場において8~11兆円の獲得を目指す、としており、輸出や発信に力をおいていることがわかります。
ただしクールジャパンに関しては、文化から生まれた結果物をただ押しうるのはちょっと違うんじゃないの? という批判も各所から聞こえています。

 
いや、こういう身体を張った感じ、私は嫌いじゃないですけどね。指揮官がきちんと最前線に立つ姿は素晴らしいです。ただ指揮官が全然あさっての方向に突っ込んでくのは残念ですが。

文化の切り売りでなく、文化が生まれる環境づくりを

文化というのは結果物でなく、その結果物を生み出すための過程じゃないかと思います。
例えば芸術家の千住博は著書『私が芸術について語るなら』で、「文化とは、風土が生み出すユニークなもの」と述べました。「自動車が文明であり、自動車の乗り方が文化である」とも喩えていて、同じ自動車でも日本という風土や日本人の価値観、それまでの歴史が、日本人ならではの自動車の乗り方を生み出すと説明しています。

出来たものにたまたま価値がありそうだから売っていこう、ではなく、そうした文化をさらに加速させていく「環境」を作ることこそ、持続的な発展に繋がるのではと思うんですよね。

日本には「海外の文化を咀嚼して自分たちのものにしてしまう」という伝統芸能があるわけです。ぜひ外国の風を強く東京に吹き込んで、そこでケミストリー的な何かが連鎖していくような、だからこそ外国人が東京に足を運ばざるを得ないような、そんな器作りを「アジア・ヘッドクォーター構想」をはじめとする諸政策に期待したいところです。

 

クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか - 「熱狂」と「冷笑」を超えて (中公新書ラクレ) わたしが芸術について語るなら 山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)

 

※この記事は、2014/1/12に掲載した「東京最後の大開発で、2020年に向け国際都市・東京の躍進は成るのか(『山手線に新駅ができる本当の理由』書評)」の一部を分割し、加筆・修正した記事です(2014/6/7)

 

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